雨が降っている、傘はない。
こんなところで雨止みを待つのは自分がすべきことなのだろうか。





  孤 独





雨が降ってるなと思ったのは、港で立ち寄った衣料品店の中。


荷物運びがいるかとサンジに聞けば、大丈夫だとゾロを連れて行った。
おまえらどっか行くのかと聞けば、ウソップもチョッパーも船に残ると言った。
滞在時間が二時間しかないとなるとこんなものなんだろう。

そんな中なぜシュライヤが船を下りたのかというと、先日見張り台に引っ掛けて破れたシャツのことを思い出したから。
早急に必要というわけではないが、二時間の中で買いに行けるし何より暇だ。



休めの店を見つけてあまり派手じゃない服を選ぶ。
試着など必要としない男でも、店内でそれなりに時間を潰すことができた。
どうしてかというと、ただ単に優柔不断といったところで、こっちがいいかそっちがいいか、決めあぐねいていたのである。
それでも店員の勧めや安さから二、三枚シャツを選んで買い込んだ。
普段使わずに貯めたお小遣いの使い道だ、誰に文句を言われるようなこともない。

そもそも自分たちは海賊であるのに、お小遣い制というのはかなり平和主義だなと、購入済みのシャツを持ち、店員からつり銭を受け取ったときにぼんやり思った。




あぁ、雨が酷くなっている。

シュライヤが店の外に出ると雨が滝のように降っていた。
同船の手品師が時々言う、バケツの水ひっくり返したような降り方だよな、雨の物凄い状態をそんな風に表現するのもまた面白いと思う。
今のこれは、滝のように降っている、そうシュライヤは思った。

船まで大分ある道程だが、普段は雨の中濡れる濡れないなんて考えたことがない。
船の上でも大体濡れるときは濡れるし、傘を持って出かけたりしない。
なのになぜか、今は足を踏み出すのが躊躇われた。


二時間しかない滞在時間なのに、なぜか待とうと思った。
この雨が止むのにはどのくらいの時間がかかるのだろうか。


今まで一人で行動していたときは、滞在時間なんてもの気にしなかった。
団体行動は自由に身動き取るのを少しだけ厄介にするらしい。
雨止みを待つ時間だって気にすることもなかったのだ。

自分が出航に遅れたら、あの船はどうするのだろうか。







「いたー!シュライヤ兄ちゃん!」

聞こえた声は耳を通り抜けたが、それは脳を巡って逆の耳を抜けたという表現。
頭を上げると、同船のパティシエが傘を差して走ってきた。


未登録
「すっげー雨だね。そりゃ身動きも取れないわ」
「おまえ、」
「待ってたの?」
「あ、あぁ」
「そっか。よかった。はい、傘」
「傘、」
「へ?傘待ってたんでしょ?」

普段あまり手にしないそれは何とも簡易な作りで、差して行ってもこの雨ではきっとずぶ濡れになるのは間違いない。
現に未登録[1]も、傘を差してきたのかと疑うほどの濡れようだ。

「そろそろ出航だって」
「この雨をか?」
「うん。ナミちゃんが決めたことなんでー」



団体行動は自由に身動き取るのを少しだけ厄介にする。

だけど雨が降ったら雨が止むのを待たなくてもいいらしい。
傘を持ってくる仲間を待てばいいんだと、新しいことをひとつ覚えた。



シュライヤはA型っぽい
DATE / Uncertain ×