この暑さをどうにかしてくれと、甲板で寝返った。
外も中も暑くて、外と中どっちにいればいいのかわからない。





   り か ら れ た





飯を食べてすぐに横になるなんてあれだ、牛だ。
サンジがいたら絶対怒られるんだ、ごろごろしてんじゃねェって。
容赦ねェからなあサンジは、なんて思いながら未登録[2]は欠伸をひとつ。


岩陰に停められたメリー号、港の様子が見て取れるが特に賑わっている様子はない。
港に下りた数名を除き、メリー号の上には何人かのクルーが残っている。
特に用事もない腹いっぱいの未登録[2]もその中のメンツである。

しかし、こんなに暑いなら港へ降りればよかったかなと思った。
必要最低限の設備しかない船よりも、快適な生活を送るための設備があるだろう陸の店。
そこへ行けば今の不快指数を下げてくれる何かがきっと待っている。
だが一番の問題は金だと、思い直してまた寝返った。



「なー」

誰ともなく声をかける。


「だーれーかーいーるーかー?」

シンとした船内、誰もいないはずはないのだが誰も答えない。



寂しさを覚えた未登録[2]は起き上がってラウンジを目指した。
ギシギシと音を立てて階段を上がり、ラウンジへ続く扉へと手を掛ける。
扉を開けばそこには我らがパティシエさんが席について何かしていた。


「いんじゃん」
「いるよ」
「返事してよ」

シカトかよーと向かいの席にご着席。

「ウソップもチョッパーも残ってるけど」
「……何で誰も返事しねェの」
「忙しくて構えないからじゃない?」


未登録[1]の手元、見覚えのあるそれはこんな暑い日には必要ないだろう、


「何作ってんだよ」
「てるてる」
「必要なくねェ?」
「サカテルして雨乞い」
「サカテル?」
「逆さてるてる坊主」
「は?」
「暑くてやってらんないから雨降らすのあんたうるさい!」

語尾が強まりイライラと未登録[2]を叱り、いや、怒り飛ばす。
ビクッと肩を竦めた未登録[2]は眉尻を垂れて、情けないほど頼りない表情。
ビクビクと手を伸ばし、未登録[1]の前の布を掴むとどうやらサカテル作りに便乗。
それに関しては特に何も言わずに未登録[1]は黙々作業を続けた。


ふと未登録[1]が席を立ち、冷蔵庫の中から何かを出して別の作業を始めた様子。

何やってんだと聞けば、ソースが冷えたか調べてると返す。
そう言えば先ほど昼食時のラウンジで小さく行われていた戦争を思い出した。
昼食後すぐに港に立ち寄るためおやつはないと言った菓子大臣に大食漢が噛み付いたのだ。
小さな小競り合いは航海士やコックの怒りをかい、結局作る方向で話は収拾。





「あ」
「あ?」
「なんか外」
「ん?」

ラウンジの小窓から外を見れば、先ほどとは打って変わった曇り空。

「サカテル効果か?」
「まだ逆さに吊るしてないのに?」
「雨降らすから逆さに吊るさないでくれってことじゃね?」
「それは随分生意気なてるてる坊主だわ」

本当降りそうだね、未登録[1]の声に通り雨かもなと即席てるてるを掲げた。



未登録[2]くんはちょっとお調子者、手品師のおにいさん
DATE / Uncertain ×