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釣りというのは、かなり体力を消耗する勝負だ。 釣れないとわかっているなら、尚更絶望が襲い掛かる。 煌 め く 水 面 釣れねェなぁと言葉を落とすのはうちの船長でも手品師でもない。 口は悪いが列記とした女、だと思う一応。 ウソップは隣でうな垂れる未登録[1]に目を走らせる。 つい先ほど欠伸をこぼしてラウンジから降りてきた。 なんともまあ暇そうな登場の仕方で、犠牲になるのは自分だと腹を括ったのだ。 案の定彼女の目に止まったのは誰よりもウソップのその姿で、ニヤリと口角を僅かにあげると、ツツツといった様子で隣に寄ってきた。 それから二人並んで釣りが行われていたりする。 それは未登録[1]から言いだしたことで、実はウソップは却下した。 進んでいる船から糸を垂らしたところで獲物が取れるわけがないだろうと。 普通に考えればそうだけど、グランドラインだから大丈夫、未登録[1]の答えはそれだった、何が大丈夫なんだと問いたい。 グランドラインでも海は海、中々の速さで進む船から垂れている怪しい餌にどんな魚が食いつくんだ?競泳にでも出ようという魚人ならまだしも。 「暇ね」 「だな」 「釣れないね」 「言っただろ」 むーむーと奇怪な音を立てる未登録[1]に、本当暇なんだろうと思う。 「未登録」 「んー」 「昼飯の手伝いいいのか?」 「もうすぐできるんだって。ちょっと手伝ったしさ」 「そーか。おやつは?」 「今日おやつなし。お昼終わったら港着くみたい」 「おー。よくルフィが許したな」 「おやつなしは言ってないよ」 そんな会話の向こう、未登録[1]は水面に目を寄せた。 糸の先の海はキラキラと太陽の光を反射する、これ飽きないよねと未登録[1]が漏らしたのは無意識の中だったらしい。 だからウソップが何がだと聞いてもそれの意図するものがわからなかった。 「何が飽きない?」 「あぁ、言ってた?えーと、この、キラキラ」 「おぉ、波な」 「んー、そーだけど違くて。えーと、その、キラキラ」 「水面のか」 「そうそう。キラキラは一緒だけどずっとキラキラしてて違うから飽きない」 芸術肌のウソップに、未登録[1]のその言葉が少しだけ刺激的で。 刺激的というか、共感するような響きが込められている。 「空ってな」 「ん?」 「青に白、言葉で言い表すとそうだろ?」 「空と雲」 「おう。だけど毎回違うんだぜ?二度と同じ色になることはない」 「へえ」 「それと一緒じゃねェか?おまえが今言いたいこと」 何度も見ているはずが毎回違う、同じということは一度もない。 今目の前にあるものはその時その時、一瞬を、言い換えれば刹那を宿す。 「一瞬が大事だ」 「おぉ、そうだ。何だ、話合うな」 「まぁ、パティシエも芸術家ですから」 「そうかもな、あぁ、そうだな」 なんとなく二人の話が合ったところで、ラウンジから昼飯を告げる声が響いた。
感性と慣性と閑静のかんせい DATE / Uncertain × |