ラムネの真ん中

 

 

バスケ大好き、土屋淳、10歳。昔から使ってたバッシュ入れには「つちやあつし」と平仮名で。金曜の放課後だけ行われてる少年バスケ。
その帰り道で、幼なじみとその友だちを見つけた。

「あー、あつしや!」
幼なじみは大声で呼び、指差す。

「何しとん、
「今な、と遊んでたとこやねん」
「見たらわかる」
幼なじみであるの友だち、。土屋少年はに目を向けるが肝心のは何かに夢中。淳の存在に気づいているかどうかも定かではない。

で、淳は聞いた、どないしてん?

「うー、取れへんねん、ビー玉」
「ビー玉?」
よく見ると、は小さなラムネ瓶の口に指を一本。逆さにして中のビー玉を取り出そうと必死な様子。
「さっきな、うちのおかんにもらってんけどな、ビー玉ほしいんやて」
あつし、取れへん?は淳を見て首を傾げた。そしてニヤリと笑みを零すと、小さく囁く。
「えぇとこ見せるチャンスやで」
「あぁっ?」
「ふふー。おばちゃんに聞いてもーた」
「な、何がやねん!」
「うちもあんたの弱味にぎれてうれしいわー」
「アホ言うな!べつに好きなんかやないっ!」
「好き〜?何を〜?うちそんなこと言うてへんよ〜?」
「!!!」
「まだまだやねー、あつしはー」
ニヤリがニヤニヤに変わった。うぐっと息を詰まらせた淳、をチラリ。
「オレが取ったろか?ちゃん」
「えーっ?ほんま?」
その言葉に頭を上げたは次の瞬間あんぐりと口を開けて、

「わあ!あつしくんやん!いつからおってん?」

天然なのだ、この少女は。周囲の人間は承知済みの性格を持ち合わせてる。
話までしてたくせに、その存在に全く気づいていなかったと主張。しかし淳は全く嫌な顔をせず、それどころかそんなバカみたいな所を可愛いとか思ってる。
あぁ、恋は盲目、重症だ。

「貸してみー。オレが取ったるから」
「取れるん?わー!すごいな、あつしくん!」
「……お、おう!まかせとき」
たんじゅんや、こいつ。はその姿を見ながら渇き笑う。
淳を見ているとやたらかまってやりたくなる。小さい頃からお隣さん、幼なじみ、弟、シモベのように扱ってきた。
を好きだというこの少年の気持ちはバレバレで彼の母親がうっかり口を零す前からも、そーなのではないかと思っていた。淳に恋してるわけでもなし、淳がを好きだということに嫌悪を感じるわけでもない。あぁ、またおもろいことになんなー。彼女の中の悪魔さんこんにちわの瞬間だった。


で、淳はと言うと、

「ぐあー!」
絶叫して瓶口のゴム部分を外そうとしている。
横で拳を作り、応援している
「がんばれ!あつしくん!」
「取れへんのとちがう?」
「そんなことない!オレが取ったる!」
「あつし、ひりきやからなー」
「ひりき?」
「力がないっちゅーことや」
「アホぬかせ!見とけや、オレの力!」
「へ?」
「え?」


バリンッッ‥

砕けました。



「ぎゃー!ガラス飛ぶやんか!」
「見たか!オレの力!」
「お前の力ちゃうやん!石ぶつけただけやんか!」
「ビー玉取れたぞ」
「取れたやない!あんた、ガラスあぶないんやで!」
「えーやんか。取れてんねんぞ」
「そーゆー問題ちゃう!うちにガラス飛んだらどないすんねん!」
「そんなん知らん。オレはちゃんのためにやったんや」
「そのもケガしたらどないす……、?」

の存在忘れて口論。

さて、は?

「……………」
地面に散らばった瓶の破片を見て、またあーんぐり口を。
「うわー!ちゃん!ガラス飛んでへん?どっか、」
ー!どこもケガしてへん?ごめんな、クソあつしが!」
「何がクソやねん!」
「じゃかあしわ!あんたもうに近づいたらあかん!」
「な、な、何、何言うてん!お前にそんなん言われるスジアイ、」


「キレイやねー」


「そう、キレイ、……へ?」
ちゃん?」
しゃんとしゃがみ込んだは二人を見上げて。
「キレイやねー。ガラスわれたらすごいキレイねー」
「え?」
「ガラス?」
地面に落ちたガラスの破片。太陽の光、雲の隙間から指す光。噴水の水がガラスに映ったり。色んな要素が混じってキラキラしている。
「すごいなー、ビックリやー。キレイやねー」
指先で、丸い丸いビー玉を拾った。手のひらでコロコロ転がすと、立ち上がった。
「ありがとな、あつしくん。あたしの宝もんやっ」
パアッと広がった笑顔に脈数が速くなる。急激な胸の高鳴りが土屋少年を襲い、その様子が手に取るようにわかるは再度溜息をついた。

あぁ、あつし、あんたはほんまにたんじゅんや。
あぁ、、あんたはほんまにかわいいな。
なぁ、ふたりとも、ありがとう。
このさき、タイクツすることなん、なさそうやな。

溜息のあと、まぁ今日はあつしもがんばったしえぇかと、踵を返したは公園を後にした。







「あー!あつしくん!」
「ん、ん?」
「ガラスかたづけんと、あぶないね」
「そ、そうやな」
「一緒にかたづけよ」
「お、おう!」

少年の、淡くも甘い恋心。

 

 


つーか小ぃちゃい子が大好きなんですけど。
04/01/08  ×