カルシウムが足りない

 

 

「あ!あぁぁぁぁぁ!」
「ん?」
「何?もう!何っ?ねぇ!」
「愛」
そう言って、ハリネズミ君は去って行った。残されたのは、牛乳。

溯ること、一分程前。今日の気分はリンゴジュース!なんて学食前で意気揚々としていた。さぁ!100円が入ったわ、あとはボタンを押すだけ!
押すだけ押すだけ!…………押……ッ…

ガコンッ‥

お、押され……

振り返ると、ハリネズミのようなデカイのが立っていた。

「カルシウムね」
「は?」
指差した先には。落ちてきたリンゴジュース。………じゃなくって。

ぎゅ、牛乳???

「あ!あぁぁぁぁぁ!」
何?何で?リンゴは??
「ん?」
「何?もう!何っ?ねぇ!」
あたし、牛乳好かないのに!

「愛」

はっ?

そんなできごと。追っかけようと思ったのに、イキナリ見失う。
「な、何?……あんの、ハリネズミ!」
そう叫んで勢いよく学食へ乗り込んだ。残された友人たち。
「………ねぇ、の言ったハリネズミって……」
「え、アレ?」
「確かにハリネズミだけど……」
「仙ちゃん先輩じゃん」
「だ、だよね……」










「仙道、お前人のから揚げ食うなよ」
「食ったもんは返せな〜い。口移しする?」
「………ぶっ殺す」
「冗談だよ、ヤダねー、越野は」
そんな会話をしている2人のもとへ。
「ハリネズミ!」
と、可憐な少女が一名。振り向く仙道。
「あ」
「あ、じゃねーよ。勝手に人の飲み物決めんな」
「?……何かやったのかよ、仙道」
「イヤ、別に」
「べ、別に?あんたが勝手にぎゅ……」
ハタ、と気づく。この上履きの色は上級生じゃあないっすか!
「ぎゅ、牛乳のボタン押しやがったから、わたし凄く嫌な思いをしているんで御座います」

………ヤベ、何か変。

「ぶっ……」
噴出す越野。
「な、何、お前面白れーヤツと知り合いなんだな」
「だろ?」
「知り合いじゃねーです!」
ダンッ、と牛乳を置く。
「とりあえず、この牛乳と100円交換して下さい。つーか返して」
「………いや」
「はっ?ふざけないでよ、ハリネズミ!」
「俺は仙道彰って名前があるんだけど」
「知らないし」
「え、仙道知らねーの?珍し〜い」
「どーでもいーから。わたし牛乳嫌いなんです」
「だからそんなにちっこいのか」

仙道とを見比べる越野。仙道は座ってる。は立ってる。
この場合、が仙道より大きく見えるはずだが。しかし、と仙道は同じくらいの大きさ。この二人、立って並んだらどうなるのか。

「あたしの背なんてあなたに何の関係もないじゃないっすか!」
「イヤイヤ、関係あるよ」
「はぁ?」
「チュウの時困るでしょ?」
「……………」
「……………」
越野との思考一致。

『コイツはバカなのか?』

「何でチュウになるんですか」
「お前の思考ってどーなってんの?」
呆れ顔の二人を気にせず、口を開く。
「だから例えばね」
と、の腕を引く。



………リンゴジュース、の味だった。



「とまぁ、いいわけよ。この状態なら。でも立ってるときはね〜」

ガタンッ!!

ひっくり返るように転んだのは、もちろん。ただ、呆然と仙道を見ている。

「お、おま、何してんだよ……」
引き気味越野。
ちゃん、パンツ見えそう」
のほほんと、仙道。

バッとスカートを抑えて立ち上がる。
「こんのハリネズミ………」
怒りで顔面蒼白。
「仙道彰だって言ったじゃん」
「仙道彰ぁぁぁ!待ってろよ、ぜってー殺す!」

指を差して、宣戦布告。

「はいは〜い」
嫌味な笑みを崩さずに、走っていく後姿を見ている。
「お前さ、あんなことしてそのうち訴えられんぞ」
「彼女になれば訴えられない」
「は?」
「とりあえず、成功。知り合いになれたし」
「何言って……」
「まさか俺のこと知らないとはなぁ。まぁいっか。覚えてもらえたし」
「ちょ、ちょっと待って。もしかしてお前、」


本気と書いて、マジですか?

 

 


リクエスト作品
02/08/05  ×