| ロザリオを僕の手に |
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放課後罰ゲーム!イェー! 初めましてこんにちは。 私、氷帝テニス部マネージャのと申します。 えぇと、三年の女子生徒です。 負けたんですね。はっきり言って負けたんですね。 『忍足侑士くんと遊ぼう昼休みトランプ積み大会』 で! 氷帝の天才(オタク系眼鏡) vs 氷帝の世話女房(豪腕マネージャ) ちなみに、真ん中の審判を勤めたのはアクロバッターです。 何でこんなわいわいがやがやの教室でそこまで積めますか。 それって人間業じゃないよね忍足侑士。斜め後ろで寝てたジロちゃんもそりゃ起きるっつーのよ。一段も積めない私の身にもなってみなさいったら!恥を曝させたいのか?お前の実力を見せつけるためなのか? ………だから負けたんだってば、チーン。 「そやなー、あれやなー、」 「何よ。早くいいなさいよ」 「負けたくせに態度デカイんとちゃいますか?」 「関係ねーわよ。ハッ」 「鼻で笑いくさって。跡部絡みにしたんで?」 「忍足くん早く私に優しい罰ゲームをください」 屈辱! 「そやなー。初めてやから簡単なのにしといたるわ」 「初めてやから〜?」 「バッカ、。オレなんかこないだのゲーム負けて、跡部の携帯ン中からバレー部のちゃんのメモリかっぱらえって言われたんだぞ!」 ヒィ!おぞましい! 「で?成功したの?」 「実行不可能だっての」 「そりゃそうだ」 「目下実行中やな?」 「……………」 嫌だ、岳人やめて、嫌だ。あんたがそんな涙目で頷くとこなんて見れない。数分後の自分をみているようで見てられない!泣かないで岳人! 「あれ、あるやろ?ロザリオ」 「ロザリオ?」 「長太郎がいつもつけてる」 「あぁ。魔除け?」 「まよ‥、……まぁえぇわ」 で、と前のめりになって人差し指を一本立てた。 「あれかっぱらってくることー」 「は?」 「了解?」 「え、うん。簡単じゃん」 初めてだから簡単なの、という言葉が頭を過ぎる。 「おう。簡単やろ?」 「オッケー。今日の放課後でいいのよね?」 「いつでも」 そんなの長太郎にちょっとこれ三分貸してーって借りればいいじゃない。大事なものなら丁寧に購買のパンでもつけて返しゃあいいわ。 「そうそう、あれやで?」 「あ?」 「長太郎には内緒で。これ条件な」 無 理 に 決 ま っ て ん じ ゃ ん ! 決して痴女じゃありませんよ。男子テニス部専用のシャワー更衣室の前にいるからって。私決して痴女なんかじゃありませんですよ。 例の長太郎の魔除けの件なんです。長太郎ったら部活の最中アレ外さないんだもん。いつ取るかって話じゃ御座いません?だから練習後のシャワータイムを狙ってるわけですあしからず。 あぁ、備え付けのシャンプーの香りが漂う。いい匂いなんだ、柑橘系のいい匂いなんだこのシャンプー。使うとスーッとすんのな、って確か宍戸が言ってた気もするわ。 さて、ごめんなさいね、長太郎。ちょっとだけあなたの着替えが入ってる籠の中を拝見させて頂くわね。そんでもってその中の魔除けを拝借させていただくわね。大丈夫、大丈夫よ、忍足に見せたらすぐ返すから! ………あれ、ないなー。 練習中もつけてたからロッカーってことはないと思うんだけど。 あーれー? 「何してるんですか、先輩」 えっ 「それ、オレの着替‥」 「長太郎?その声は長太郎?あら?ここはどこ?」 「どこじゃないですよ先輩」 「やっだー、もう。寝ぼけ癖がついたっていうかなんていうかー」 後ろから聞こえてきた声は間違いなく長太郎。ちょっとあんたシャワー浴びるの短時間すぎない?もうちょっとこう練習での汗を流しなさいって! 苦笑いしながら振り向いた私の目に一番に飛び込んできたのは目的のあれ。 「あぁっ!」 「な、何ですか、」 「何でつけたままシャワー浴びてんの?」 「つけた、まま、って‥?」 「これじゃあ探してもないはずだわー」 もー、ショボンだよ。 ちゃんたらショボーンだよ。 「先輩」 「何さ」 「あの、オレ‥」 「何?」 「何も着てないんですけど」 あぁ、そりゃそーだよね。あんたは下隠してここにたってるもんね。服は私が漁ってる籠の中にあるんだもんね。 「そーね」 「そーねって、」 「今更恥らいもないし」 「先輩‥」 「だっていっつもいっつもあんたたち男子部員の上体半裸見てんじゃない。トランクス一枚で闊歩してたって気にも留めないっつーの。あ、ブリーフは嫌よ?」 突如として思い浮かんだ男の顔は跡部だったことは黙ってよう。あ!あくまでも思い浮かんだのは顔だけで全身じゃないから! 何か悲しそうな目の長太郎が見えるんですが。 あ、そうか。 「ごめんね、私が平気でも長太郎はそうじゃないのよね?」 「え、あの、先輩、」 「悪かったわ。すぐに出てくわ」 長太郎みたいな純な男子学生にはきっと恥ずかしいんだ。ゴメンね長太郎、私を許してね長太郎。 ため息をついてシャワー更衣室を出ると、立ってたのは忍足。トランプ積みの覇者で罰ゲームの提案者。眼鏡の下の目が私とシャワー更衣室の扉を見比べる。 「………痴」 「痴女じゃねぇやボケ!」 「男子テニス部員専用やで?」 「うっさいなー。こーすりゃ魔除け取れると思ったんだもん」 「首尾は?」 「もうちょっと待って。次の手考える」 「こーなったらこっそりベッド入るくらいしか方法ないんちゃう?」 「そんなん最終手段じゃん!あんた頭湧いてんの?」 あーあ、もう洗濯でもしながら次の作戦でも立てようか。この罰ゲームが終わらなきゃ、次回の勝負に進めないじゃないか。次勝って絶対忍足がドン引きするような罰ゲーム押し付けてやるんだ。岳人もこーゆー闘志を持って戦いに挑んでるのかしら?うーん、同士だ。明日会ったら抱擁してやろう。 無駄に拳を握り締めるを見送り、最終手段でその手使う気かよと心の中で軽くツッコミを入れる。そしてゆっくりシャワー更衣室の扉を開けた。 中に佇む長太郎は、未だ物悲しい目で突っ立ったまま。忍足の存在に気づくと、悲しい目を崩さずにそのまま目を向ける。 「先輩に何か言いましたか?」 「ゆーたやろ。協力したるぞ!って」 「い、言われましたけど!こ、こんな、」 鳳長太郎、純な男子中学生。 目下マネージャのに淡い恋心を燻らせていた。 「こんな?」 「オレ、先輩に男だって思われてないと思います」 「あー?そんなんないない」 「この姿で出ても何ひとつ動揺しなかったんですよ?」 「そーゆーオンナや、アレは」 二人っきりにしてやるから頑張りや、昨日そう忍足に言われた長太郎。しかしこんな形でその時が訪れるとは思いもしなかった。しかもこんな形で訪れたその事態は、酷く己の自信を喪失させた。 頭を垂れて壁に寄りかかる後輩に哀愁を感じる。 「長太郎」 「……何ですか」 「あいつが最終手段取ったら勝負や」 「何ですか、最終手段って」 「わからんでえぇ。せやけど魔よ…、ロ、ロザリオ守っとき」 「………もうオレわけわかんないです……」 「大丈夫や長太郎、明日の光はお前の味方やで!」 協力してやると言った手前、失敗は許されない。最終的に二人をくっつければいいんだと、忍足は胡散臭い笑顔を見せた。
久しぶりにお相手片思い(通じる率30%)書いた。
04/08/23 × |