| 不審者への心情 |
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視線の行方を探るという行為。 最近感じる、おかしな視線を。 時々こちらを見てるような気もするが、目を向ければ逸らす。気づかれないように見てみれば、ジッと運転する手を見つめる目。見た後、気まずそうな顔して視線を戻してる。何考えてるか、大抵想像がつく。 「何だよ」 「へ?」 「何見てんだよ」 「み、見てない‥」 隣で深呼吸する肩に苦笑い。 無意識的な意識の中で行われるそれは、わかり易く言やぁ煽ってる。悲願さえしているように見えるのは、俺のエゴか。だから、手を伸ばさずにはいられない。 「うわっ」 「あ?」 「何この手」 ハンドル両手で握ってよ、怯えた色の浮かぶ目。事故を起こす云々ではなく、手に怯えてることは明白。頭を撫でる、髪を梳く。 「知ってるか?」 「何を。……だから両手で、」 「髪触るって、セックスよりも後の行為なんだと」 「セッ‥」 その言葉に笑みを浮かべる女とは違う。どちかっていやぁ、そう顔を赤くする方が煽る。バカじゃないのと罵倒言をたれる方が面白い。 黙ってしまった頬をひと撫で、笑みを零して手を引いた。 満たされてないわけじゃない。 だけど足りなくなる。 例えば、玄関に入って直ぐに唇を奪う行為。 「んぃ、……っ、シノ、」 話をするのももどかしい。 待ってと制する手を征す。固く拘束するのも好まない、それをわかってるのか緩く腕を掴んだだけで、抵抗をやめた。 「っ‥、万年、発情期っ!」 「だからどーした」 「開き直、‥ぃぅ‥」 だからどーした、お前ももう諦めろ。 お前の目が俺を見つめる限り、 お前の目が俺の一挙手一投足に怯える限り、 お前の目が俺を愛しむ限り、 お前の目が、俺の手を欲する限り。 俺はお前を攻めることを、止めようとは思わない。
不審者の心情のおまけのようなもの。
04/06/06 × |