| メイキングライフル (6) |
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には止められてた。 「並木先輩?」 「あっ、」 何してんですかー?と。自分の教室を覗く並木に声をかける。 惚れた女が目の前にいて浮き足立つ並木だが、それを隠して。 「あー、は?」 「はお帰り。あの子危険」 「は?」 「松田いるじゃん?」 「あー、トモ」 「そ。会いに行っちゃった」 「は?ヨリ戻し?」 「ガツンて言ってやんだって〜」 危ないよね?首を傾けて並木を。 可愛い……、じゃなくて。 何?あいつ、ガツンと何を言いに行くって? 「どこへ?」 「いっつものー。松田らの溜まり場」 「駅裏のクラブ?」 「うん」 「アブネーって」 「そーなの。携帯連絡しても出ないし」 「あ、ココ」 「は?」 並木は右手に握った機械を。それはの携帯。 「階段とこに忘れてんの」 「マージで?」 本当におバカだよ〜、と携帯を受け取る。 「あたし一人で行っても意味ないし」 「え、てゆーか行くなよ」 「じゃあ先輩行く?」 「……一人で?」 「もう!頼りになんないー!」 「バッカそーじゃなくて」 むう〜、と携帯をいじる。 ピッピッ‥ 今日の不在着信が3つ全部。 【篠宮浩太】 「あ。篠宮浩太だ」 「は?」 「………かけちゃえ」 「あ?オイ、ちょ……」 「来たってことはオレとヨリ戻したいんだ?」 いかにも楽しそうに言う。 そんな風に言われても笑いたいのはこっち。 「まさか」 「あ?」 「そのカッコイイ顔に泥塗るようで悪いんだけどさ」 「……何だよ」 「あんたになんかこれっぽっちも興味ないんだよね」 てゆーかアンタ自意識過剰なんだよ。まぁこれは言わないでおくけど。 「興味ない?」 「正確に言うと、興味なくなった」 目が覚めました、と見据える。 「今日はさ、もうあたしに構わないでいーよって言いに来た」 「……構うだぁ?」 「変な意味じゃなくて」 変なプライドで人に関わるのやめて、そう言いに来たのと。 「そーゆこと。じゃね」 『ガツンと言ってやれば?』 ガツンと言ったらすっきりした。 そのまま踵を返す。でも、低い笑い声にまた振り返った。 「お前さぁ」 「は?」 「帰すとでも思ってんの?」 俺にそんな口聞いといて、言った松田の口元は嫌な感じに歪んでて、周りのヤツらも松田と同じように、嫌な笑顔だった。 「やめろ!って……あー!もう!」 「イッて、この女蹴り入れやがった」 「そっち側抑えとけっ」 四人の男に体を抑えつけられて、これ以上ないほどの抵抗を。 「ちょ、マジむかつ……ヤメテよ!松田!」 当人、松田友樹は高みの見物を決め込んで。傍にはあの後輩の女。今の彼女。 やっぱりね。 あたしがヨリ戻したいとか言ったら彼女登場させて笑うつもりだった。 バレバレ。このハゲ、最低。 「やめさせろっつてんの!松田っ!」 「うるせー女」 「タオルよこせ、タオル」 いくらもがいても男四人の力に敵うはずない。 ウザイ、死ね、ムカツク。 「ってゆーか……」 「あ?」 「?」 「殺すからね」 「………ははっ」 「言うねぇ、この女」 「どけっ!バカ!フザケンナ!」 携帯忘れたあたしはバカだ。あったところでかけるのは無理だろうけど。 ちくしょう。 「もう!やめろっつって……んぐっ」 猿ぐつわのように口の中に詰め込まれたタオル。 「っ!んー!……っんん!」 「カワイソー」 「悲劇のヒロインっぽいじゃん?」 バカ野郎。 殺す殺す殺す殺すっ。 ブチのめす。 「アレある?G」 「あー、あるある」 「使ってやれば?」 「死なない?」 「死なねーべ」 使ったほうが楽しい楽しい。笑ってに乗る男。 『G』 そう呼ばれた注射器が目の前にちらつく。 「‥っ、ん!」 松田と遊んでた頃見たことがあった。楽しくなる薬だと、松田は教えた。ヤバイモンだってことはすぐにわかった。だからあたしは見てみぬふりを。 「初めてでGじゃクセになんじゃね?」 松田が笑う。あぁもう、本当にその顔、嫌い。 「初めて?」 「マジ?」 「ドッチが?G?アッチ?」 「両方」 「マージでー?」 初めてで悪いか。 ウルサイウルサイ。 もうヤダ。イヤだ。 「お前ヤッてねーの?」 「だから別れた」 ………だから別れた? 何が?アタシの所為なの? 「……っん、‥」 よくわかんない悔し涙。 そんで、恐怖感。今更恐怖が。 コワイ。 助けて。もうヤだ。 の言うこと聞いてればよかった。 ゴメンなさいゴメンなさい。 誰か助けて。 お願いします、誰か。 助けて、助けて、助けて。 篠宮さん。 一旦泣きだしたから、嗚咽が止まらなくて。 でもタオルで苦しくて死にそうになった。 苦しくて苦しくて、もうダメなんろうなとか思った。 だけど、 いきなりタオルが外されて、酸素が体に入った。 あったかい体温と煙草の匂い。 心地いい、優しい腕。
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