淡いぜベイビー

 

 

「おっはー」
「………何時だと思ってるんですか」
遅いですよと、キューティクルな髪を揺らして言う。
観月はじめ。聖ルドルフテニス部選手兼マネージャー。
あたしはこの人の女です。………彼女です。

「ゴメンね、観月」
「可愛くないですよ」
まー!特別に上目遣いで謝ったっていうのに!何なんですか、もう!そんなに怒らなくってもいいじゃない!たかだ20分遅れただけで!(たかが?)
「まぁいいわ。行くわよ」
「………(遅れてきて偉そうに)」
「何?」
「いいえ」



さて、今日は何かといいますと他校の偵察です。
だけどあたしはデート気分でウキウキです。ちょっと可愛いスカートを履いてきたのに観月は何も言いませんが。いつものことなので諦めます。


目的地、青春学園に到着。


「やっぱり抵抗があるね、この名前」
「わけわからないこと言ってないで行きますよ」
「(わからなくないし)」

(あなたとなら地獄の果てまで!)




そーこーしてるうちに、イキナリ観月を見失いました。(えー)

「………やべー」
やべーどころじゃありませんよ。こんな敵地で一人になったら何されるかわかったもんじゃない!(何にもされません)
テニスコートにも辿り着けないまま、敷地内をうろうろとまるで不審者。気づいたら携帯に表示される時間は『15:38』。

「ヤベッ!観月どーしたんだろ」
「観月?」
背後からの声。息を詰まらせながら驚愕の振り返り。
「!」
「君、聖ルドルフテニス部のマネージャーさんだね?」

そこにはバカでかい眼鏡の男が。

「ななな、何ですかあなたは!」
「それはこっちの台詞だけど。まぁ、偵察ってとこかな?」
「………(そのとおりだ)」
ってゆーか何すか。この逆光を巧みに操る怪しげな男。何であたしがルドルフのマネージャしてるの知ってんの。
さん」
「!!(ストーカー!)」
「さぁ、テニスコートに案内するよ」
「(ヤラレル……)」
不審だけどしょーがない。だってどこに行ったらいいかわかんないんだもん。

そしてそのままテニスコートに。見回してみるけど、観月の姿が見えない。何でかしら。(偵察だからだよ)観月がいないんじゃ意味ないんですけど。

「あのう」
「見当たらないね、観月はじめ」
「(ぎゃ!何で!)」

「観月はじめ?」
後ろから声がした。
「彼が何?」
あんまり気分宜しくなさそうに言う女の人、じゃなくて男。

不二周助だ。

「あぁ、不二」
「今、観月がどーとかって言ってなかった?」
「ん、いや、別に」
「そう?………で?この子は?」
あたしの方をチラッと、そしてニコッと。うやっほー!殺人的スマイル!
「聖ルドルフ学院テニス部マネージャーのさんだよ」
「へぇ。だから観月がどうとか言ってたんだね」
何だろう。観月って言う時、すっごく恐い顔するんですけど。うーん、うーん。
「………あはは」
しかもその度に逆光君はノートに何か書いてる。怪しい、怪しいよ!青学テニス部!

「まぁ、どーでもいいけどね。ところで君、さんだっけ。どうしてここに?」
「えぇーと、うーん。ゴメンなさい。偵察です」
「そうなんだ?素直で可愛いね」
「………はっ?(わー!何!可愛いとか言われちゃったよ!)」


と、その時。

あたしの肩を後ろに引く手が。

「う、あっ」
「何してるんです」
「み、観月!」

観月だー!よかったー!見つかったー!

「………お久しぶりですね」
「………そうだね」

んまぁ嫌な空気。わかってるわよ。観月は不二君に負けたし。(禁句!)不二君は裕ちゃんのことで怒ってるし。互いに快く思ってないなて、第三者から見てもわかりすよね。
あぁ、ほら、また。逆光男は笑いを堪えて何かを書いてる!!

「君も偵察?」
「えぇ、まぁ。……だけどもう十分なので。失礼させて頂きますよ」
「ふうん」
「行きますよ、
「あ、はいはいはい」
観月に引きずられながら、不二君と逆光マンに頭を下げる。すると、不二君がクスッと笑って口を開いた。

「またおいでよ。ちゃん」

いつあたしの名前を!(今観月が呼んだじゃん)

「………人のものに手を出そうなんて、趣味悪いですよ」
「あぁ。君のなんだ?」

ピリピリだよ。空気ピリピリだよー!(泣)

「み、観月、行こうよ」
「そうですね。それじゃ練習頑張って下さい」
「ありがとう。君たちもね」

なんとか、その場を抜け出せました。(脱力)











「な、何ですか」
「いきなりはぐれるのはやめて下さい」
「も、申し訳ない」
「それと、」
帰り道、いきなり立ち止まって。
「次からはついて来なくていいです」
「えっ!何で!(マジ?ヤダ!)」
「心配になるからです」
「へ?」
「貴女が他の男と一緒に居ると心臓に悪い。僕を殺す気なら話は別ですが」
「そ、そんなつもりは」
「なら、いいですね?」
「え、う、な、………はい」


………変な嫉妬の仕方。

歩調を合わせてくれる観月と、並んで帰りました。

 

 


不二と観月は仲悪いイメージ。
03/01/23  ×