我的愛人

 

 

どっちが優位か。そんなことはどうでもいいんだけど。
最初はあたしの方が強くても。気づいたら優位に立ってる男が居る。どこでどう、そうなってしまうのか。何でなんだろう。


ー」
「何」
「ちょっと君、こっちへ来なさい」
「喋り方変やで?」
自分のベッドを占領して手招きをする、胡散臭そうな男のもとへ。
「何?」
ちゃん」
「……はよ言え」
じゅー、きゅー、とカウントを始めるの顔を見ながらその男、南烈は言った。
「プレゼントとお願い事あんねん」
「対照的やね」
「いやいや。デモ繋がってるんザマスのよ。コレが」
気になってはいた。部屋に入ったときに持ってた大きな包み。リボン付きってのが何だかそそる。……違くて。もしやあたしにくれンのか?とか思ってた。
「今日だけや。こんなお願いできんの」
「何で?」
「……今日だけ」
「何でか言え」
「……あっついな〜」
「うちの親が居てへんからか」
「ア、アホ!んなわけあるかい」
「めっちゃ図星やん。反応早いなぁ。どもっとるし」
「まぁまぁまぁ」
で?何?とがため息をつけば、南は言う。
「コレ、やる」
思ったとおり。あのでっかいリボン付きの包み。プレゼントを開ける前ってのは、期待に胸膨らんで。やたら笑顔になるもんです。
「えぇの?」
「あー、まだ開けたらあかん」
「……くれるんちゃうん?」
「やーる。えーとな、服やねん。ソレ」
「言うなや!折角開けるの楽しみにしとったのに〜」
「言わな始まらん。それ、でー‥や」

ちょっとばかし深刻な顔つき。

「な、何よ」
「着てくれへん?」
「……は?着る?」

今ここで?が聞けば南は頷く。
あたりまえやん、ヨロシクな。そう言ってニコニコと。

「?」

疑問符を頭いっぱい浮かべたは包みを開いた。そりゃもうホント丁寧に。なんせ誕生日でもクリスマスでもない。なんの変哲もない日にもらったプレゼントだから。しかし、ビラッと広げて凍りつく。

「……あぁ?」
「えぇやろ?」

出てきたのは青とシルバーのチャイナドレス。

「…………」

一瞬停止した思考回路を標準に戻して。その光り輝くチャイナドレスを投げつけた。もちろん贈り主へ。
「うわっ!な、何すんねんっ」
「こっちのセリフちゃうんかいっ」
半笑いを浮かべ、は南を一瞥。
「アホにもほどがありますなぁ、お兄さん」
「えぇやろ!つーか着ろや!折角買うてやってん!」
「はぁ?逆ギレか!」
「えーから着ぃ!お前な、オレがどんだけ岸本に頭下げて‥」
「……あんたまたミノリンにお金借りたんかい!」
「あ、おーう?」
「ごまかすなー!あんたの借りた金の四割はあたしが巻き上げられとんねん!えーかげんにしぃ!」
「オーケーわかった、了解や。もう借りん!せやから着ろ!」
「全然話が繋がってへん」
「えーやん!着たってや!着て下さい!」

何でこの男はこんなに必死なのだ。

、あれやで?チャイナ服なんかこの先着れへんで?」
「いつでも着れます。ここにあるんやし」
「一人で着て何がオモロイねん。それとも何か?それ着て街中?度胸あんなぁ」
「………待て」
「今着ぇへんと宝の持ち腐れやで?」

アホな説得に負けてしまう自分もどうかと思いましたが。

ゴクリ。

好奇心には勝てなかったのだと、素直に認めることにしよう。


「わかった」
「おっしゃ!」
「出てろ」
「何でや。えーやん」
「えーから出ろ。着たら呼ぶ」
早よせんと着んのやめんで?の言葉に南はきゃーそらあかんね、と。ニコニコ笑って部屋を出た。










「おっそいでー」
ドアの前でギャンギャン騒ぐ南。
するとドアの向こうから「やっぱ脱ぐわ」と。脱ぐわってことは着たのだと、南の脳は判断。バンッと音を立て、部屋のドアを開けた。

「……おぉ」
「おぉ、て何やねん」

チャイナドレスに身を包んだ。前で腕組みし、目を閉じてため息を。もうええやろ?顔を上げて目の前にいるだろう南を見る。

が、

「烈?」
すると、足を触る手。
「!」
「このスリットが堪らンなぁ」
「アホ!」
後ず去る。
「触んな!着替えんねん!出ぇや!」
「アカンやろ。僕をこんなに挑発しくさってからに」
「僕言うな!挑発なんてしてへん!」
「せやったら誘惑。お上手やね、ちゃん」
「お前が着ろゆーたんじゃ!」
「着ろ言うただけや?誘えとは言うてへん」
「せやから誘ってへんっちゅーねん!」
「いや、もうボクは」
思いっきり誘われてしまいました、と。を壁に追い詰めた。

「泣くで」
「啼かしたんで?」
「アホか」
「まぁまぁまぁ。ええやん。諦めぇ」
親がいないときに家に上げるもんじゃない。改めて痛感する
諦めたように肩を落としたに南は言った。


「何よ……」
「……脱がし方わからん」

 

 


チャイナドレス、うちは母親が持っています。
03/01/28  ×