想い人は空を見る。

 

 

釣れたか?釣りの最中後ろから覗く。いきなり肩に乗ったルフィの顔に、はビクッと体を揺らした。
「ルルルルルフィッ」
「ん?‥ル多いぞ?」
「そそ、そう?」
「ん」
ししっと彼女に向かう笑み。の顔は緩めの笑み、だが、耳が仄かに赤らんでいる。そんな光景にロビンとナミは顔を見合わせて笑んだ。
あらあら、やっぱり好きなのかしら。さぁ、どうかしら。

欲しいの?食事の最中首を傾げる。の言葉に笑みを深めコクコクと頷くルフィに苦笑いを見せた。
「じゃあ、あげる」
「本当か?」
「ん。あ、あーん‥」
「あー‥」
んまいと彼女に向かう笑み。の顔は緩めの笑み、だが、耳が仄かに赤らんでいる。そんな光景にウソップとチョッパーは顔を見合わせて目を丸くした。
なぁ、あれって好きなんだよな?さぁ、どーだかなぁ。

すーすー寝息を立てる彼女の傍に、匍匐前進で進む影。影の主、ルフィは顔を見下ろしてキュッと鼻を摘む。
「ししっ」
「んん、……!」
「お、起きた」
「‥ッ、も、ルフィ」
悪ィ悪ィと彼女に向かう笑み。の顔は緩めの笑み、だが、耳が仄かに赤らんでいる。そんな光景にゾロとサンジは顔を見合わせて頂けない様な表情を。
あれって、……まさかだよな、‥それ以上言うんじゃねェ。

仲間はみんな、自分の想いに気づき始めてる。そんな空気がビシビシ伝わるし、隠せない自分もどうなのかしら。はため息、知らぬは船長ばかりなり。



夕日を前に、暮れゆく前に。いつも居る場所にルフィがいなくて、は首を傾げた。前方に夕日が見える珍しい日、ここにいると思ったのに。
彼の特等席に、彼の姿がない。
「あれ〜‥?」
あたりをキョロキョロ見渡しても、見えるのはラウンジの明かり。肩を竦めたはため息をついてフッと空を見上げる。

「っ、うあ、」
「何してんだ?」
「ななな、何、なに、して、‥の?」
「綺麗だろ。空見てた」
ピッと指された人差し指は見張り台に向かっていて、それでいてルフィの半身はまだ見張り台。何となく不気味なその体勢も、今となればもう慣れてしまった。
「綺麗なの?」
「おう。来るか?」
「えっ、あゃ、おわああぁああ!」
ふわっと宙に浮いた体は彼の肩に担がれて、ぐーっと空へ上る。上っていく最中、お姫様抱っこがいいなどと贅沢なことを思った。

足が見張り台へ着くと、目に映るのは一面に広がる橙色。

「な?」
「う、うん。でも、ルフィ船首にいるかと思った、から」
「そっか?んー、あそこもいいんだけどな、」
ここも綺麗だと笑う。そして指す先は目の前の夕日、それより手前の船首。
「あそこだと目の前に海だけ見えんだ」
「うん、そーだね」
「ここだと、この船も見渡せんだぞ」
「……船も?」
「おう。甲板も船尾もみかん畑も」
「あぁ、そっか。そうだよね」
「ししっ。お前もよく見えたぞ」
「……えぇっ?」
見てたの?とか、さっきまで何してたっけ?とか。乙女の脳は素早く回転するのだけれど、いつも以上に素早く回転しすぎて、ショートしそうです。

しかも、

「ひぃえっ?」

後ろから回ってきた手のお陰で、

「なな、何っ?」

心臓も爆発しそうだったりする。

後ろから回された手、いや、腕。グッと力が入るそれにどうしたらいいもんかと体が強張った。何?聞こうと声を出すが、喉の中程で緩く掠れる。
しかしその掠れた声を、船長は自分の中へと取り入れた。だから返事が耳へと入る、こーしてェからするんだと。
「い、いやいや、ルルルルフィ、ルフィっ?」
「お前またル多くなってんぞ?」
「そ、そーじゃなくて、そーじゃなくて」
「んん?」
「えー、えーっと、」
「面白ぇなぁ」
「何、何が?ちょっと、何がっ?」
「何でもねェ」

恋心が膨れてゆきます。

何も知らない彼だからできる行為なんだと、ちょっと寂しい気持ち。
何も知らない彼だからできる行為なんだと、ちょっと嬉しい気持ち。
いろんな気持ちが入り混じり、恋心は膨れてゆきます。










あぁ、面白ェな。

、あのな、

知ってる。

好きなんだろ?

 

 


知らぬは彼女ばかりなり。
05/03/20  ×